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【農業】「ニンニク」の育て方

【農業】
「ニンニク」の育て方







はじめに



「ニンニク」の育て方をまとめています。

料理を美味しくしてくれる食材の一つ「ニンニク」。
香りと旨味の強い食材として知られている。


「ニンニク」は、
比較的、栽培がしやすいと言われているので、
家庭でも栽培することは難しくはない。
だが、
「夏の終わり」と「秋の始まり」頃に、
「植え付け」を行って、
翌年の「夏の始まり」ぐらいに収穫となる。

正直、
地味で長い期間が必要。



詳しくは、
下記をご参照ください。


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「ニンニク」とは


「ニンニク」は、
香味野菜の1つで、
日本では、「生産量」は、ダントツで「青森県」が多い。
「1年に1度」しか収穫できない上に、
収穫まで「8ヵ月」もかかる、とても手間のかかる野菜。

漢字で、
「大蒜」「葫」「忍辱」「人肉」
と書く。
「人肉」というのは当て字で、特別な意味はないらしい。

かつて、
食用で香りの強い植物は、
総称して「蒜(ひる)」と呼ばれていた。
独特な香りを持つ「ニンニク」は、「大蒜(おおびる)」と呼ばれていた。
「蒜」の仲間には、
野草の「野蒜(のびる)」、「行者にんにく」と呼ばれる「小蒜(こびる)」などがある。

「葫(こ)」という漢字は、
中国での表記が由来。

古くは、
「忍辱」と表記されたこともあるが、「仏教用語」が由来となっているそう。
仏教では、
「ニンニク」「ニラ」「ネギ」「らっきょう」「ノビル」などは、
「情欲」「憤怒」を増進する食品とされていたことから、
「5つ」を合わせて「五葷(ゴクン)」とし、
修行中に食べることが禁じられていたそうです。
しかし、
実際には、隠れて密かに食していたとのことで、
仏教用語である「忍辱」を隠語として使っていたことから来ているらしい。


色々な漢字表記がある「ニンニク」ですが、
「ヒガンバナ科」の「ネギ属」の「多年草」で、
香りが強く、
「強壮」「スタミナ増進作用」があると言われている。

「球根」を食用とすることが多く、
「茎」も「ニンニクの芽」と呼ばれ、
「野菜」として調理されている。


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「初心者」におすすめの「ニンニクの種類」


「家庭菜園」で、
「初心者」におすすめの「ニンニクの種類」は、
大きく分類して、
「寒地向け」「暖地向け」の「2種類」がある。

地域の気候や天候の影響を受けやすい野菜で、
その地域性に合っていることが、育てやすさに繋がる。

「初心者」の場合は、
その地域の地域性にあった「ニンニクの品種」を選ぶことが必要不可欠。

・「北海道」「東北地方」などの「寒地・寒冷地」の場合は、「寒地向けの品種」
・「関東地方」「関東以西」などの「暖地・温暖地」の場合は、「暖地向けの品種」



「家庭菜園」で作れる「ニンニクの品種」

品種名適正地域説明
ホワイト6片 寒地向け 「寒地系ニンニク」の「代表品種」。
市場に最も多く出回る「国産ニンニク」の「系統」。
粒となる「鱗片(りんぺん)」が大きくそろいのよいのが特徴。
「東北」から「北関東」ぐらいまでの地域性に適している。
「暖地」では、「低温」が不十分で「球の太り」が悪くなりがち。
「冬の暖かさ」で、「病気」が出やすかったりする。
エレファントガーリック(ジャンボニンニク) 寒地向け 「手のひらサイズ」の「大きなニンニク」。
「リーキ(西洋ネギ)」の仲間。
「栽培方法」は、通常の大きさのニンニクと同じだが、「通常のニンニク」よりも育てやすい。
無臭ニンニク 寒地向け・暖地向け マイルドな香りでニンニク特有の風味も少ない。
ニンニクが苦手な方にもおすすめの品種。
鱗片が10個以上付くので、極大サイズのニンニクが収穫可能。
「暖地」でも育てやすく、「小片」を植え付けても大きくなる。
平戸 暖地向け 「関東以西」の地域性に適した「暖地向けのニンニク」。
比較的育てやすく、ニンニク特有の風味もしっかりと楽しめる。
嘉定(かてい) 暖地向け 「暖地向け」の作りやすい「早生品種」。
収穫も早くできる。
「やや小ぶり」の「香りの強いニンニク」。
若いときに収穫すると「葉ニンニク」としても使えるらしい。


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「ニンニク栽培」に適した「環境」





項目内容
種類ニンニク
科目ネギ科
生育期間 約8か月~10か月

10月植え付け
7月収穫
適正土壌 「過湿に弱い」ので、「水はけのよい土」を好む。
「野菜用培養土」でも問題なし。
好適土壌(pH) 5.5〜6.0
「ニンニク」は、「酸性」の土壌を嫌う。
植える場所に、
「苦土石灰」を全面散布して耕しておく。
「リン酸肥料」「完熟堆肥」も十分補給する。
連作障害連作可能
栽培のポイント ・「1株」から複数の芽が出たら、「芽かき(間引き)」をして「1本」にする。
・「越冬前(10月頃)」と「越冬後(3月頃)」の2回の追肥を行う
植え付け ・植え付ける前に「一晩水につける」と「発芽」が揃う。
・植え付けは、「株間15cm」「条間25cm」「深さ10cm」ぐらいの間隔で植える。


「ニンニク」の栽培は、
「病害虫」の心配が少なく、 手間があまり掛からずに成長してくれる。


「風味」「香り」が良い
「大きな球」の「ニンニク」を育てるには、
「秋」に栄養がたっぷり吸収できる「土づくり」が重要。
タイミングの良い「追肥」をすることがポイントらしい。


「ニンニク」は、
「長期保存」もできるので、
大量に栽培し、保存しておくと便利。




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「ニンニク」の「栽培スケジュール」


「ニンニク」は、
「1年に1度」しか収穫できない上に、
収穫まで「8ヵ月」もかかる、とても手間のかかる野菜。




植え付け時期で注意すべき点は、「温度」。
「暑さ」が厳しいと、「ウイルス系の病気」にかかりやすくなるリスクがある。
「寒さ」が強くなると「根の張り」が不十分になり、「春」に「ニンニクの太り」が悪くなる。
「地温20℃前後」に「植え付け」を行うのが「目安」。
「暖地」の場合は、「10月ごろ」でも問題ないらしい。



時期寒冷地温暖地
1月越冬期間越冬期間
2月越冬期間越冬期間
3月 上旬:
・炭まき
・追肥

3月下旬:新しい葉が出る
4月 上旬:追肥

・間引き
・肥大時期
・上旬:追肥

・間引き
・肥大時期
5月 上旬 ・肥大時期
・茎摘み
上旬:追肥

・茎摘み
・肥大時期
6月 ・茎摘み ・収穫
7月 ・収穫
・堆肥を入れる
8月 ・堆肥を入れる
・土づくり
9月 ・土づくり(肥料)

下旬:植え付け
・土づくり(肥料)
10月 上旬 上旬:植え付け+土かけ
・土づくり

中旬~:植え付け
下旬:芽が出る・芽出し
11月越冬期間越冬期間
12月越冬期間越冬期間


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「ニンニク栽培」の「土づくり」


「ニンニク栽培」には、
「土づくり」が、とても「重要」。

「植え付け」までに、

・堆肥
・石灰
・元肥

などを入れて「土づくり」を完了しておく必要がある。


「ニンニク栽培」の「土」は、
「土壌酸度(pH)目安」は、「5.5〜6.0」。

「冬越し」で栽培する「ニンニク」には、
「肥料分を多め」にした「肥沃な土」を作っておく。


「肥料」には、「バランスのとれた配合肥料」が良いとのこと。


「ニンニク」は、「連作障害」が出にくいため「野菜」。
「同じ場所」での「連作」が可能。




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「ニンニク」を「植え付け」する「方法」


「ニンニク」を「植え付け」する「土」は、
「野菜用の培養土」でも良く、
「過湿」に弱いので、「ニンニク」が好む「水はけがよい土」を準備しておく。



「ニンニクの鱗片」を購入する

「9~10月」の「植え付け」に合わせて、「ニンニクの鱗片」を用意する。
「地域性」に合わせた「品種」の「ニンニクの鱗片」を1つずつ植え付けするための準備をする。
「薄皮」は、付けたままで「OK」。
「小さ過ぎる鱗片」は「NG」。

「薄皮」は、水分をはじくため、保存時には種球を保護してくれる。
しかし、皮を付けたまま植え付けると、土中の水分を吸収しにくい為、「発芽」が遅くなる。
薄皮をむいて植え付けると、発芽が早くなる。
その後も生育が早く、充実した株で冬を迎えることができるため、
最終的に収穫する球も大きく育つ。

「ニンニクの鱗片」の乾燥を防ぐため、皮をむくのは植え付けの直前に行う。


鱗片を植え付け

「ニンニクの鱗片」を「水はけのよい培養土」に、
「約12~15cm程度」の間隔で、
「芽(尖った方)」を「上」にして「1片ずつ」、
「覆土が4~5cmかかる深さ」で植え付けする。

「植え付け後」には、「たっぷりの水」をあげる。


「土」が乾いたら「水やり」

「ニンニク」は、「乾燥に強い」が、
水のやりすぎ「過湿には弱い」。

「土が湿った状態」が継続されるのは良くない。
「土が乾いた状態」になってから「水やり」をする。


「芽かき」をする

「植え付け後」、「30日ほど」で発芽する。
「草丈10cm〜15cm」の頃、「1株から2本の芽」が出ていたら、
勢いの弱い方の芽をかき取って「1本」にする。

一緒に抜けてしまわないように、「残す方の芽」の生え際をしっかり押さえてかき取る。


「追肥」をする

「追肥」は、基本的に「12月」「2月」「3月」の「3回」。
「65cm幅のプランター」の場合は、「成分量窒素8:リン酸8:カリ8の化成肥料」ならば「20gずつ」を「各月1回」行う。
「液肥」の場合は、「規定の希釈率で薄めた液肥水」を「3月」までに「4、5回」に分けて行う。


「12月頃」の「1回目の追肥」は、「株元」に「ボカシ肥」や「鶏ふん」を撒く。

「2月中旬頃」の休眠から覚める「2回目の追肥」は、「1回目」と同様に追肥する。

「越冬前の追肥」がとても重要。
「光合成」によって葉で作られる養分が、冬の間に根と茎に蓄えられ、春になって鱗茎に転流される。
「越冬前」に地上部を十分に生育させておく必要がある。
そのため、「追肥」をしっかりと行っておくことが大切。


「トウ」が出たら摘み取る

「4~5月」になると、「とう立ち」して、
「茎の先端」から「トウ(花の咲く茎)」が伸び出す。
花は咲かないが、「ニンニクの球」を太らせるために早めに摘み取る。
手でポキッと折るか、掴んで引っ張るとスポッと抜ける。

摘み取った花芽は「ニンニクの芽」として食べられる。


収穫する

「ニンニクの球」は、「5月の終わりから6月」にかけて大きくなる。
「6月ごろ」に、「葉」が枯れ始めたら「収穫のタイミング」。

ただし、「6月」になる前に「葉」が枯れた場合は、病気の可能性がある。
その場合は、「収穫」してしまう。


「ニンニク」は、「球」が熟成するとふたたび休眠に入って生育を止める習性がある。
「下葉」が、「黄変」し始めたら「休眠」に入ったサイン。
「収穫適期」は、「5月下旬から6月頃」、「地上部の葉」が、「全体の2/3」ほど枯れたら収穫。


「ニンニク収穫」は、
「株元の茎」を手で握り、「真上に引き抜く」。

簡単に抜けない場合は、
まだ根が生長している証拠。球はもう少し大きくなるので様子を見る。


「土が湿っているとき」に収穫すると保存中の球が傷みやすい、「2〜3日晴天が続いた日」に収穫するのが良い。


「ニンニク」を収穫したら、
「数日」の間「乾かす」行程が必要。
収穫後、「2〜3日」ほど「畑」や「軒下」に並べて乾かす。


貯蔵

「茎」が乾燥したら、「葉と根」を切り落す。
「3、4個」ずつ「茎のつけ根」をヒモで縛って束ねる。
さらに「2束」ずつヒモで縛って吊るせるようにし、
ニンニクを吊るして貯蔵する。

風通しがよく、雨と直射日光が当たらない軒下などに吊るしておくと、長期保存ができる。

あまり長くおくと休眠から覚めてしまうため、
「芽」が出る前に食べるか、スライスして冷凍保存しておく。


収穫後2週間ほど干しても、中が湿って柔らかくなりかけているニンニクは、
収穫時期が早すぎたために、まだ生育期で水分が多く含まれているのが原因。






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「ニンニク」の栽培に注意が必要な「病害虫」


「ニンニク」は、
同じ「香味野菜」の「ネギ」よりも、病害虫の被害を受けやすい野菜。
しっかりと生育させるためには、
「病害虫」の対策が必要。



「ニンニク」の栽培に注意が必要な「病害虫」には、

・赤さび病
・アザミウマ
・春腐病(はるぐされびょう)

などがある。


「ニンニク栽培」の「失敗因」となるのは、主に「病気」。
「無農薬栽培」も可能だが、「農薬」で病気を事前に防除する方法もある。
栽培を成功させたい場合は、「農薬」を選ぶのも1つ。

ポイントは、「2月下旬~3月」に、「農薬」などを用いてある程度の予防をしておくこと。
寒いときは病気の症状が出ないが、「3~4月」は、病気にかかりやすい。

実際に症状が出るのは「5月ごろ」が多い。
「病気の症状」が出てから「農薬」を使用しても「効果はない」。
適切なタイミングで、「農薬」「対策」を使用することが重要。


「ニンニク」は、
同じ「香味野菜のネギ」と育て方がほとんど同じ。
初心者の方は、まずは育てやすい「ネギの栽培」から始めてみるのも良い。



病害虫名説明
赤さび病 「ニンニク」によく出る「病気」。
「暖地向け」よりも「寒地向け」のニンニクの方が、発病しやすい傾向がある。
アザミウマ 「ニンニク」には、多くの害虫がつく中、一番多い「アザミウマ」。
「農薬」を使用しなくても、青色の「ビタットトルシー」などの「園芸用品」や、「青いハエ捕り紙」で防除できるとのこと。
春腐病(はるぐされびょう) 春の長雨で発生する。
雨水がたまらないように、「水はけ」をよくするのが「予防」。
「肥料」が多過ぎても「病気」が出やすくなるとのこと。


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